2017年12月12日

「北海道新聞」(2017年12月11日)に山田昌弘『底辺への競争』の書評を書きました。

12月11日の「北海道新聞」に、山田昌弘さんの『底辺への競争』(朝日新書)の書評を書きました。
山田さんは20年前に「パラサイトシングル」という言葉を造語した家族社会学者ですが、いまやそれが「中年パラサイトシングル」となり、下流に落ち込まないための絶望的に競争にたたき込まれている現状を解析したものです。
 日本の格差社会がとんでもないところまで来ていることがよくわかり、読むとガクゼンとします。
じつは山田さんとは個人的に面識があり、ずいぶん前ですが、福岡で開催された家族関係の学会で彼に会ったさいに、喫茶店でだいぶ話し込んだことがありました。

以下のサイトで期間限定でご覧になれます。
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/150455?rct=s_books

内容は以下の通りです。

  ●下流転落におびえる「総中流」
  評 佐藤直樹(九州工業大名誉教授)

 本書いわく、教えている学生たちに「大学を卒業して、何になりたいか」と尋ねると、「正社員」と答える学生が一人ならず出てくるそうだ。この話、笑えないところがコワイのだが、なんだかイヤな時代である。

 じつは、昨今の激烈な「就活」も、「婚活」も、「保(育)活(動)」も、本書のいう「底辺への競争」を象徴するものである。すなわちこれは、1990年代後半からのグローバル化と格差の拡大によって生じたのだが、標準的なライフコースとしての現在の中流の生活をなんとか維持し、下流に転落しないための、絶望的な「後ろ向きの競争」を示しているという。

 とりわけ、著者の造語である20年前の「パラサイト・シングル」は、いまやアラフォーの「中年パラサイト・シングル」となり、この「後ろ向きの競争」という過酷な現実に直面している。つまり、親元にパラサイトするのも、少子化も、未婚化も、下流に落ちないためのリスク回避の行動であった。これまでパラサイトは、一種のセーフティーネットの役割を果たしてきたのだが、いよいよ失業や親の介護・死亡などの生活上の困難に直面し、下流への転落のリスクに晒(さら)されているというのだ。

 また、日本は先進国の中で、大量の人が中流からの下降移動を経験する「最初」の国になるだろうと、著者はいう。なぜなら、他の多くの先進国はもともと階級社会であって、生活水準の異なる階級の間で分断が固定化しているが、日本はかつて「一億総中流」を達成したために、それからこぼれ落ちる大量落下が始まっているからだ。

 では、なぜこの「底辺への競争」が、日本ではこれほどまで激烈になるのか? 理由は、「自分が中流であること、人並みに生活していることが重要で、それができないということに対する『恥』の意識が強い」からである。私の考えでは、この意識は日本特有の「世間」によるもので、その意味では、本書が摘出した問題の根は、極めて深いといわなければならない。(朝日新書 778円)

<略歴>
やまだ・まさひろ 1957年、東京都生まれ。中央大教授。専門は家族社会学


posted by satonaoki at 12:17| NEWS

2017年11月30日

2017年12月4日に東京FMの「TIMELINE」という番組に出演します。

 2017年12月4日(月)19時25分頃−19時40分頃に、ラジオ局・東京FMの「TIMELINE」という番組に生出演します。出演者は佐々木俊尚さん(作家)。今井広海さん(アナウンサー)。

 テーマは、「「20秒早く発車で謝罪」に見る日本の風潮」。先日つくばエクスプレスの電車で、定刻より20秒早く発車させたとして、運行会社がホームページで謝罪したことが、海外メディアで話題になった問題です。それが日本のメディアでも報じられました。

 これは、2017年11月21日の「朝日新聞」の「電車が20秒早く出発して謝罪 驚く海外」という記事で、私のコメントが掲載されたことから依頼されたものです。
以下、記事の私のコメントを引用します。

日本社会を「世間」という切り口で研究する佐藤直樹・九州工業大名誉教授(刑事法学)は「日本では場の空気を壊さずに円滑にものを進めるため、『とりあえず謝る』習慣がある。企業も同じで、法律上の問題がなくても、苦情やネットでの炎上を恐れ、先回りして謝ることが当たり前になっている」。ここ20年ほど、成果主義が広がって社会がぎくしゃくし、小さなことでもクレームを入れる風潮が強まり、企業の謝り方がどんどん過剰になっていると感じるという。
 佐藤さんは「20秒早く出発して謝るなんてやっぱりおかしい。消費者自身も、普段から要求が行きすぎていないか、考え直す必要があるのではないか」と話す。


posted by satonaoki at 12:34| NEWS

2017年11月21日

「講談社BOOK倶楽部」(2017年11月17日)に『目くじら社会の人間関係』の書評が載りました。

2017年11月17日付で「講談社BOOK倶楽部」のサイトに、『目くじら社会の人間関係』の書評が掲載されています。評者は、クドウヒロカズさん。自分のネット炎上の経験から、日本におけるネット炎上の実態を示した上で、きわめて明快に本書の内容を紹介してもらっています。
以下で、閲覧可能です。
http://news.kodansha.co.jp/5406
posted by satonaoki at 12:28| NEWS