2021年01月30日

「朝日新聞デジタル」(2021年1月5日配信)に「ウィルスよりも「世間」がこわい 仮想化で増す同調圧力」というインタビュー記事が掲載されました。

「朝日新聞デジタル」(2021年1月5日配信」に「ウィルスよりも『世間』がこわい 仮想化で増す同調圧力」という長編のインタビュー記事が掲載されました。聞き手は文化くらし報道部の山崎聡記者で、とても興味深い内容になっています。
https://www.asahi.com/articles/ASNDX3JHKNDSUCVL00J.html
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「朝日新聞デジタル」(2021年1月28日配信)に「刑罰で威嚇すれば、不信渦巻く社会に 刑事法学者の危惧」というインタビュー記事が掲載されました。

 「朝日新聞デジタル」(2021年1月28日配信)に「刑罰で威嚇すれば、不信渦巻く社会に 刑事法学者の危惧」と題するインタビュー記事が掲載されました。聞き手はオピニオン編集部の桜井泉記者です。
https://www.asahi.com/articles/ASP1X4QGGP1WUPQJ00J.html

内容は以下の通りです。

――新型コロナ感染症特措法や感染症法を改正し罰則を付けることに反対ですね。なぜですか。

 「営業を続ける業者や入院を拒否する人を犯罪者扱いし、深刻な差別を生むことを懸念しています。それは、前科とならない行政罰(過料)であっても、刑事罰(懲役や罰金)であっても同じです。人々は厳密に区別せず、いずれも犯罪行為だと見なすでしょう」

 ――これまでも、感染した人への非難や差別、自粛要請に従わず営業を続ける店への嫌がらせがありました。

 「日本社会は、他人に迷惑をかけてはいけないという同調圧力がとても強い社会です。病気はケガレであり、患者は世間に迷惑をかける存在だとみなされてきました。だから、コロナ禍では、『自粛警察』による嫌がらせが横行し、心ない差別が広がりました。法改正で罰則が定められれば、こうした行いを正当化することになり、警察や自治体への通報も殺到する。人々が分断され、不信が渦巻く密告社会になることを恐れます」

 ――とはいえ、緊急事態宣言下で感染者数は高止まりし、人出もあまり減りません。罰則の抑止効果への期待もあります。

 「罰則で威嚇すれば、強制的に入院させられることを恐れ、受診を避けて、検査を受けない人が出てくる。かえって感染者が社会に潜り込み、感染拡大を防ぐ効果は期待できないと思います。病院を抜け出し、故意に感染を広げるなど、悪質なケースは、刑法の傷害罪などで対処できます」

 ――なぜ罰則が必要か、政府の説明はどうですか。

 「法律をつくるときには、なぜ必要なのか、つまり立法事実を示さなければなりません。とくに罰則付与は、著しい私権制限や人権侵害となりますから、それを正当化できる明確な理由が必要です。入院拒否や病院からの逃走、疫学調査の拒否がどのくらいあるか、そうした根拠を示せなければ、立法自体が極めて恣意(しい)的だということになります」

 ――罰則が付与された場合、円滑な運用は、なされるのでしょうか。

 「閉店命令違反を調べるのは、自治体の仕事でしょう。職員たちは、コロナ対応やワクチン接種の準備で多忙を極めています。東京都内だけで約9万店と言われる飲食店に対して、どうやって網羅的で公平な調査ができるのでしょうか。実効性は疑問です」

 「さらに、警察が入院拒否者を取り調べる際、感染をどう防ぐのでしょうか。また、疫学調査を拒否した人に刑事罰(罰金)を科すのは、『自己に不利益な供述を強要されない』(憲法38条)という『黙秘権の保障』の侵害になる可能性があります」

 ――政府のコロナ対策は後手に回っているという批判もあり、内閣支持率が急落しました。

 「会食は4人以下にせよ、と国民に求めながら、首相をはじめ政治家は守らない。『Go To トラベル』は、なかなか中止せず、緊急事態宣言の発出も遅すぎました。失政を隠し、『やってる感』を出すために国民の権利を侵害する罰則を設けるのだとしたら言語道断です。病床不足で自宅待機を余儀なくされ、亡くなる人も増えています。入院拒否者を想定して法改正し罰則を付けること自体、本末転倒。政府は優先してやるべきことを取り違えています」

 ――改正法案が閣議決定されたのが、1月22日でした。与野党の修正協議を経て、近く成立する見込みです。

 「十分に議論する時間はありません。そもそも、昨秋の国会で時間をとって冷静に議論しておくべきでした。今のような非常時では、国民も国会議員も冷静な議論ができず、厳罰化にぶれるおそれがあります」


 ――日本では、かつてハンセン病患者は、法律によって隔離され療養所での生活を強制された歴史があります。

 「感染症法の前文にはこう書いてあります。『ハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である』。まさに今、再び起きているのが、コロナ感染者や家族に対する差別や排除です」

 「ここ20年ほど、刑事司法では法改正などで刑罰が引き上げられたり、死刑執行数が増えたりする傾向にあり、厳罰化が進んでいます。『世間』の空気は、悪いことをすれば処罰は当然だと、きわめて不寛容になっているように感じます。だからこそ、なおさら、コロナ対策として罰則を持ち出すことには、慎重であるべきです」








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2020年12月28日

「西日本新聞」(2020年12月27日)に「コロナ禍が語る同調圧力」が掲載されました。

「西日本新聞」(2020年12月27日)の「年の終わりに」で「コロナ禍が語る同調圧力」が掲載されました。
期間限定で以下でご覧になれます。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/677314/

内容は以下の通りです。
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コロナ禍が語る同調圧力

 新語・流行語の年間大賞に「3密」が選ばれ、ノミネートされた言葉も新型コロナウィルス関連が大半。まさにコロナ禍に始まり、コロナ禍に終わった2020年であった。全世界の風景を一変させた、この未曾有の厄災がはからずも露呈させたのは、ノミネート語にもなった「自粛警察」の登場に象徴される、この国の同調圧力の異様な強さだ。
 もちろん同調圧力は、大なり小なりどこの国にもある。だが日本の特異さは、その根底に「世間」の暴走があったことだ。たとえばこの国では、コロナ感染者があたかも犯罪者のようにみなされ差別されるが、欧米ではまずありえない。漫画家のヤマザキマリさんは、イタリアでは「いわゆる感染者差別というのは全くと言っていいくらい、ない。病気での差別は数百年前までのプリミティブな(原始的な)人間のやることだと捉えている」という。
 感染者差別が起きるのは、日本社会が1000年以上歴史のある伝統的な「世間」に縛られており、現在でも犯罪や病気を呪術的なケガレと考えるからだ。じつは欧州でも「世間」にあたるものが存在したのだが、11・12世紀以降に消滅した。これがイタリアで「プリミティブ」といわれるのは、かつて欧州でも差別の歴史があったからである。
 近年インターネットの普及で誰もが自由に発信できるようになったが、皮肉なことにコロナ禍においては、スマホが手軽な隣組や国防婦人会と化している。その結果、感染者の氏名・住所等の個人情報がネットにさらされ、差別やバッシングが頻発するようになった。
 日本ではSNSの匿名率がきわめて高い。総務省の『情報通信白書』によれば、ツイッターの匿名率はじつに75.1%。米35.7%、英31%、仏45%、韓国31.5%等と比べて突出している。その理由は、「世間」の同調圧力があまりに強いため、実名では個人を特定され叩かれることを恐れるからだ。しかしこのネットの匿名性こそが、俗にいう「旅の恥はかき捨て」状態をひきおこし、感染者への差別やバッシングを生み出す温床となっている。
 それ故、「世間」の暴走を止めるためにいま必要なのは、ネットにアップする前に、それが実名でも発信できる内容なのか、まず自分に問いかけてみることである。
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